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症例の見方:矯正治療のゴール=“治る”とは

歯並びが“治る”とはどういうこととお考えでしょうか?通常の病気は健康から逸脱した状態です。病気が治るとは健康な状態に戻ることです。矯正治療では千差万別な患者さんの歯並びをきちんとする事が治療です。しかし一般的な病気と違いもとに戻るべき状態はそこにありません。理想的な歯並びとかみあわせを全く新しく創り上げる必要があります。ですから“治る”という言葉も使います。

患者さんによって「歯並びをきれいにしたい」「上下の歯がきちんと咬めるようになりたい」など矯正治療に求めているゴールは異なりますが、私たちJBO認定歯科矯正専門医は、矯正治療はただ歯がきれいに並べば良いだけのものとは考えていません。

  • 歯がきれいに並んでいること
  • 口元(横顔)もきれいであること
  • 咬み合わせがきちんとして、正しく機能していること

この3つの条件を満たされた状態を“治った”=治療のゴールと考え、きちんと“治す”ことを目標として治療を行っています。

ここでは私たちJBO認定歯科矯正専門医が「治療のゴール」と考えている状態をご紹介します。ここに示すゴールは歯科矯正医の仕事だけでは達成できません。顎外固定装置や顎間ゴムの使用など患者さんの協力が不可欠です。逆にいえば十分に協力いただければ早く美しい状態になります。あなたもこの美しい状態を目指して、ぜひ矯正治療を頑張ってみてください。

矯正治療のゴールとしての症例の見方

ホームページで症例集を閲覧したり、カウンセリングで症例写真を見せてもらったりすることがあれば、次のポイントを注意して見てみてください。

1.適正なオーバージェット、オーバーバイトになっているか

ジェットとは日本語で被蓋(ひがい)のことです。わかりやすくいうと上の前歯がどれくらい下の前歯を被っているかと言う意味です。

オーバージェット

症例の見方 オーバージェットオーバージェットとは水平的な関係で通常は2-3mmくらいが適正です。
オーバージェット8mmというとかなりの出っ歯です。マイナス3mmのオーバージェットは反対咬合です。

オーバーバイト

症例の見方 オーバーバイトオーバーバイトとは上の前歯が垂直的にどれだけ下の前歯に覆い被さっているかです。通常2-3mmくらいです。下の前歯の2/3被さっていると、過蓋咬合という状態です。マイナスのオーバーバイトは開咬合の状態です。

2.上下の正中線〔真ん中の線〕があっているか

症例の見方 正しい正中線歯の大きさに左右差がなければ通常正しいかみ合わせでは正中線は上下で一致します。歯の大きさが左右で違う場合でも治療中に同じにするように調節(大きい歯を少しだけ削る、小さい歯を大きくする)すれば一致します。

3.上下の歯がきちんと咬んでいるか(咬頭嵌合〔こうとうかんごう〕しているか)

症例の見方 咬頭嵌合歯は上下の歯が互い違いにきちんと咬むようにできています(咬頭嵌合といいます)。上下がきちんと咬んで向こう側が見えないのが理想です。歯の形によっては多少見えますが。

4.コンタクトにズレがないか

症例の見方 接点(コンタクト)歯列を上から見たときに隣の歯との接点(コンタクト)がきちんと連続している。

5.辺縁隆線にズレがないか

症例の見方 辺縁隆線隣の歯と接する点(コンタクト)が上下的にずれていない。歯が上下的にきちんと並んでいる。

6.歯根のパラレリング(平行性)がなされているか

症例の見方 パノラマレントゲン治療後のパノラマレントゲンで、歯根が骨の中で平行に並んでいるかどうかがわかります。
矯正治療のゴールは歯根が平行に並んでいる方が望ましいです。

7.小臼歯舌側咬頭が咬んでいるか

症例の見方 小臼歯舌側咬頭の咬合上の歯の舌側咬頭(内側の尖頭・尖った部分)はそこに舌があるため、矯正治療後自然に咬まないでそのままになることもあります。
できたら上顎第二小臼歯の舌側咬頭まで、咬合させて終了する事が理想です。しかし、歯の形や舌の機能などによりできないこともあります。

8.顎の関節と咬み合わせの調和がとれている

顎関節と咬み合わせの調和は症例写真から判断するのは難しいですが、治療のゴールとして大切なポイントですので、ご紹介いたします。

上下の歯がきちんと咬む咬頭嵌合は顎の関節がきちんと関節窩(関節のくぼみ)に収まっている位置で作られる必要があります。顎の関節は下顎の関節の出っ張りと関節のくぼみがきちんと合わさったところで力が出せるようにできているので、出っ張りが、くぼみにきちんと収まっていない状態で力を入れて咬むと顎の関節に障害が出る可能性が高くなります。出っ歯の人は少し下の顎を前に出すと出っ歯ではなくなります。この状態でかみ合わせを作ると一見きちんとしたかみ合わせに見えますが関節の出っ張りとくぼみがきちんと収まっていない状態なので長い年月を経ると顎関節症になるかもしれません。

顎の関節と咬み合わせの調和が取れていない例

顎の関節と咬み合わせの調和

一見綺麗に咬んでいますが(写真A)、関節の出っ張りがくぼみに収まると咬み合わなくなり出っ歯になります(写真B)。かみ合わせと顎の関節の調和がとれていません。

ディスクルージョン(臼歯離間)

大臼歯が近心傾斜(手前に倒れている状態)だと、倒れた歯の後ろ側が最も早く対顎の歯とあたって(早期接触)不都合をおこす場合があります。それを防ぐために大臼歯は整直して矯正治療を終えます。その為、上下の歯が咬んでいない状態で治療を終えることがあります。その後大臼歯はもう一度萌出(歯が生えること)し上下の歯は適切な状態できちんと咬み合います。

ディスクルージョン(臼歯離間)

治療直後(A)は大臼歯(一番後ろの歯)の間に隙間がありますが、保定後(B)上下の大臼歯が萌出してきちんと咬みました

9.硬、軟組織のバランスのとれたプロファイル

バランスのとれたプロファイル
歯の位置は唇の形に影響します。
これまでお話ししてきた咬み合わせはお鼻、唇、オトガイ部軟組織〔顎の先〕と調和のとれた位置になければなりません。
歯の位置が変わるだけでこんなに口元の形が変わります

【失敗しない矯正治療】治療を始めるにあたって大切なポイントをご紹介します。