- 星 隆夫
星 隆夫(ほし たかお)
- 2005年 JBO認定歯科矯正医認定
- 1989年 新潟大学歯学部卒業
- 1993年 新潟大学大学院歯学研究科臨床系専攻修了
- 星歯科矯正在籍(2006年より勤務)
ガイドラインアンケート調査
以下の設問にお答えください。
質問に回答ができない場合には、無回答にチェックしてください。
なお以下文章中の「抜歯」は基本的に小臼歯抜歯を意味します。(先天欠如歯が存在するため前歯を抜歯した場合や、片顎の小臼歯抜歯も含みます。)
また「非抜歯」は小臼歯非抜歯を意味します。第二、あるいは第三大臼歯のみを抜歯した場合は非抜歯としてください。
掲載日:2011/10/06
第1回:抜歯 非抜歯に関するアンケート(2012年5月時点)

全ての患者さんに非抜歯で矯正治療が可能ですか?
回答:いいえ
【回答に対するコメント】
矯正治療に関わる抜歯は歯と顎の大きさのアンバランスを解消するために行われるものと、上下の顎のズレを代償するために行われるものに大別される。
歯や歯周組織の健康や口唇とのバランスを無視して拡大すること、顎の位置の補正は手術をすることで行えばすべての患者さんを非抜歯で治療することは可能です。
しかしながら、創り上げられた咬合と顔貌は決して美しく調和のとれたものではあり得ないと思います。歯科矯正治療を望む人の多くは歯列の見た目を気にして治療を開始します。その結果得られる顔貌が美しいものではないのは本末転倒である。と私は思います。

1で「いいえ」とお答えになった先生にお聞きします。
将来矯正学が発展、進歩したとしたら、すべての患者さんに非抜歯治療が可能になると可能性はありますか?
回答:いいえ
【回答に対するコメント】
ひとつ前の質問で、抜歯する理由を二つあげました。一つは、歯の大きさと顎の大きさのアンバランスに起因するものです。顎にくらべ歯が大きい。これは、日本人と呼ばれる人たちの遺伝子の多様性に起因します。人類の起源はアフリカ大陸です。アフリカ大陸で生まれた人類はアフリカ大陸から世界中の土地へ拡散していきます。この拡散は異なる年代に3回にわたり行われたと言われています。これらの人類は年代毎に異なる遺伝子の特徴を持っています。日本はそれらの遺伝子のすべてがあるという世界でもまれな国です。多くの国では征服者は被征服者を竣滅する事が多かったようですが、日本では共生という手法がとられたようです。そのため、多様な遺伝子が共存している環境になりました。ですから、顎と歯の大きさのバランスず歯がでこぼこに並ぶと言う状況が起きやすくなっています。遺伝的に決まっているバランスの悪さを歯をでこぼこでに並べると言うことで解決しているのです。歯のでこぼこは生体にとって問題ではなく遺伝子レベルでの問題の解決策です。ですから、でこぼこを治療する際には抜歯が必要となることが多いわけです。さて質問に対する答えですが、受精時もしくは受精以前に遺伝子を操作する事で歯と顎のバランスの悪さを解消できるかも知れません。科学が進歩すれば可能になる技術かもしれません。しかし、これは神の領域だと思います。人間が手を出すべき領域ではないと思います。
上下の顎のズレに対しても遺伝子レベルで働きかければ問題を解消できるでしょう。くり返しますがそれは神の領域です。私たちがコントロールして良いモノではないと思います。

永久歯列期の患者さんに対する矯正治療開始にあたり、抜歯が必要と診断した患者さんの割合(2010年)はどのくらいですか?
回答:60%~90%未満
【回答に対するコメント】
当院での治療目標はでこぼこのない綺麗な歯列で、顎関節が安寧な位置で上下の歯が適切に咬頭勘合しなおかつ、前歯の位置が口唇・オトガイ部軟組織と調和のとれた位置にあることを目標としています。
簡単に言うときちんとした歯ならびかみ合わせで口元も美しい状態を創り上げると言うことです。
でこぼこがある方、口唇が閉じにくい方は抜歯を勧める場合が多くなると思います。
高い鼻と発達したオトガイをお持ちの外国人の患者さんにはでこぼこがあっても非抜歯をお勧めすることが多いです。